アトピー治療に使われるステロイドの基礎知識
皮膚科に行くと、アトピーの治療薬として必ず処方されるのがステロイド。
いろいろ悪い評判も聞きますが、適切に使えば、ステロイドはとても良い薬らしいです。
ステロイドについて、
- 「副作用が気になる」
- 「使わなくなったら悪化するのでは?」
- 「炎症を抑えるだけだから、アトピーは治らない」
などなど、ステロイドに対してあまり良いイメージを持っていない人も少なくありません。
今回は、そのことに関する基礎的な知識を少し紹介したいと思います。
ステロイドの真実
「ステロイドを使うと皮膚が黒くなる」という話をよく聞きます。
これは本当なのでしょうか。
そもそもアトピーとは皮膚の炎症のことです。それを抑えるのがステロイドの役目です。
たとえば、火山の噴火を思い浮かべてください。
噴火がひどければ、それを鎮めるためには大量の水が必要です。つまり、アトピーで考えると、強めのステロイド薬が有効です。
しかし、炎症がそこまで酷くなければ、ステロイド薬も弱めのものが有効です。
ですから、程度にあったステロイドを使うのが大前提になります。
そして、その炎症が治っていく過程において、皮膚の色素が沈着することがあります。これが皮膚が黒くなる原因です。
つまり、皮膚が黒くなるのはステロイドを塗ったからというより、炎症がおさまり治っていく過程で生じるものです。
ステロイドは強いもの弱いもの5段階
前述のとおり、ステロイドには強さがあり、5段階に分かれています。ですから、炎症の程度に合わせて使うのが好ましいです。
さらに、ずっと同じステロイドを使い続けるのではなく、治療の経過や程度を見ながら、ステロイドの強さを調整することが重要になります。
ステロイドの塗り方
ステロイドの外用薬は、塗るときの量がわかりにくいです。
目安としては、人差し指にひと関節ぶんの量を「1FTU」といい、その量で両手のひら程度の面積を塗るイメージです。
人差し指にとって、両手のひら分を塗ると覚えておきましょう。
ステロイドは怖いのか
ステロイドの評判を聞いても、強い薬だから塗りすぎないほうがいい、とか、不安になるような意見があるのも事実です。
結論から言うと、ステロイドはアトピーに非常に有効です。ただし、正しい知識を持ち、適量を守ることが前提です。
とくに注意しておきたいことは、炎症していない皮膚にステロイドを塗ることです。
ステロイドを塗り続けると皮膚が薄くなるという副作用があります。そのため、炎症していない皮膚に塗ると、かえって皮膚を弱めてしまう可能性があります。
ですから、ステロイドを使うときは、適量を取り、きちんと炎症している皮膚に塗るようにしてください。
また、ステロイドの強さについては、かかりつけの皮膚科の先生によく相談し、程度に合わせたものを使うことを心がけましょう。
食べ物はアレルギーに影響するの?
アトピーは、その原因として疑わしいものをできるだけ避けることも大切です。
とくに、皮膚のバリア機能をしっかり保つことも、アトピーを治していくためには有効です。
以前は、食物アレルギーによって炎症が引き起こされるという考え方もありました。
しかし近年の研究により、口から食べると、アレルギーを起こさない免疫、耐性の方向に働くらしいです。
一方、イギリスで乳幼児にピーナツオイルが入った保湿製品を使っていたところ、ピーナッツアレルギーの患者が約80%も増加したことが発覚しました。
つまり、バリア機能の低下により、その皮膚を通して炎症の原因、アレルゲン物質が体内に取り込まれていることが懸念されるのです。
したがって、アトピーは炎症を抑えるだけでなく、その後もしっかりスキンケアを行い、皮膚のバリア機能を正常に戻すことが非常に大切です。
ですから、正しい知識を身につけ、きちんと薬を処方すれば、アトピーは改善されていくはずです。むしろ間違った知識ばかりを入れ、治療を拒絶しても治りません。
まずはしっかり知識を深め、その上で医者と相談しながら治療法を考えていくことが大切だと思います。